>>142
正確には、「死刑廃止論者」と「評決において死刑を支持しない人」というのは別です。
死刑廃止論者であっても、現行法に死刑がありそれがふさわしいと思われるような犯罪行為を
した人に対して死刑を支持するということもあるでしょう。それが、法律に従って判断すると
いうことです。
もっとも、死刑廃止論を前提として、どんな事件でも死刑を宣告しないと決めている人もいる
でしょうし、死刑制度を支持していても自分が死刑を支持するのは嫌だという人もいるでしょう。
そのような人たちに対してどのように対応するかについては、以下のように考えられるのでは
ないでしょうか。
まず、裁判員候補者が辞退を希望している場合は、「自己または第三者に身体上、精神上、
経済上の重大な不利益が生じると認められる場合」(政令で定められた辞退事由)に該当するとして、
辞退が認められる余地があります。上で書いたように、法律に従って裁判するというのは、ときに、
死刑廃止の信条に反してでも死刑を言い渡さなければならないという事態に直面するからです。
では、その人が辞退を希望しない場合はどうでしょう。(死刑を食い止めるために裁判員になろうと
する人もいるはずです。)死刑求刑が予想される場合には、裁判長が「この事件は法定刑に死刑を
含みますが、あなたは法律に従って判断できますか。」などと聞きます。ここで、「判断できない」と
答えたとき、裁判所において「不公正な裁判をするおそれがある」として不選任とする可能性があります。
不公正な裁判をするおそれがあると判断されなくとも、検察官の側で理由を示さない不選任請求を
する可能性があります。

おっしゃるとおり、死刑廃止論者を締め出すことになってしまう気はしますね。ただ、死刑廃止論者
の方も死刑相当と思われる事件以外では職務を行うことになります。