現場も見ずに棄却するとはもう司法を信じられない。国営諫早湾干拓事業を巡り、
潮受け堤防開門を求める漁業者らの上告を棄却した最高裁第2小法廷決定。
長崎、佐賀両県の原告漁業者たちは怒りの声を上げ、開門反対の営農者らはこれで
安心だと歓迎した。私たちの生の声も聞かずに棄却するとは。本当に残念でならない。
長崎県諫早市で漁業を営む原告団長、松永秀則さんは憤った。潮受け堤防が閉め切られて以降、
ほとんどの漁業者が養殖を始めるか補助金を受けないとやっていけない状況に追い込まれている。
国や県は海が壊れていったことを認めず、本気で海を再生する気もない。カネで済ませようと
していると決定に失望をあらわにした。また、原告の一人で佐賀県太良町の漁師、大鋸幸弘さんは、
長く有明海特産の高級二枚貝タイラギをとってきたが、堤防閉め切り後は漁獲量が激減。近年は
カニ漁などで生計を立てる。取材に大鋸さんは、国に開門を命じた福岡高裁の確定判決を挙げて
一度確定した判決を無視するなんておかしな話だと怒る。一方、開門に反対してきた営農者や
長崎県は決定を歓迎した。諫早市の干拓地営農者、山開博俊さんはこれで安心して働けると喜んだ。
事業が完成し、開門差し止め訴訟の原告団にも加わった。決定までの歩みを訴訟まみれだったと
振り返り、国に対し開門しない形での問題解決を要望した。国に開門を命じた福岡高裁の確定判決
に対し国が無効化を求めた請求異議訴訟の上告審弁論が最高裁である。この訴訟で国と争う太良町
の元タイラギ漁師、平方宣清さんは今回の決定を受けて請求異議訴訟でも同じような審判をされる
のではないかと戸惑いを隠せない gtyekcwg