虫プロ商事が倒産直前の幻の雑誌月刊レオに載っていたジャングル大帝は
昔の原稿の再掲載で、ふしぎなメルモは池原しげとの画だった。
だから、手塚治虫はなんでもかんでも自分で画を描いていた・キャラの顔を描いて
いたというのは、事実ではない。なかよし版のリボンの騎士の雑誌連載ははたして
ほんとうに掲載期間の最初から最後までたとえばキャラは本人のペンによるもの
であるのだろうか?
 元手塚アシで一時期仕事上のライバルになった久松氏、小室氏が主役として
描いたキャラは、それぞれある時期に手塚治虫漫画で頻出していたキャラに
極めて似ている。たとえばスーパージェッターとか冒険ガボテン島の絵柄など。
だから仮説として実際には手塚治虫の連載マンガのあるものは、かなりの割合で
(月刊レオのメルモがそうだったように)原案とストーリーを作って、マンガ
としての作画作業はアシに作品ごとに担当させて丸投げしていた作っていた時期
があるのじゃないかと思うのだ。
 虫プロ倒産で落ち込んでいた時期に朝日新聞のインタビュー記事で読んだ記憶
として、アシに顔まで描かせていたら画をそっくり真似された作品を描かれてし
まってとても弱ったことがあったので、今ではキャラクタだけは自分で描くよう
にしたというようなことが載っていた記憶がある。
 ブランドとしての価値を毀損するから、あまりそういうことを広めたくないはず
である。たとえば、他山の石として、ウォルトディズニープロはウォルト自身が
元になる画を描いているというように思い込ませていた時期があるが、それは
本当にごく初期だけであって、後はアニメーターに丸投げであり、彼はプロデュー
サーに徹していたのが実態であったが、長らくそのことは秘密だった(業界では
秘密でもなんでもなかったろうが)。