第9話「こわされた人形」
脚本は能加平 演出は富野喜幸
「この国にはまだまだデタラメな掟がいっぱいあるんだ」
ラストシーンのサファイヤのセリフが、今回のお話を一言でまとめている。
悪魔除けの人形をこわした者は死刑という、それこそデタラメな掟に異を唱え、人形をこわしたサファイヤ。掟により死刑台へ。
「チンク、リボンの騎士も長くなかったね」という迷セリフを残して死刑執行されそうになるが、死刑執行人の息子により縄をとかれる。
サファイヤを殺されては男の心がとれないとメフィストが現れ、
サファイヤはガンダムハンマー?やヒートホーク?でメフィストに応戦するが、メフィストにはきかない。そこへ、いつものパターンでチンクが! メフィストはいつものように逃げてゆく。
「悪魔除けの人形は悪魔にきかなかった。あの人形はインチキだったんだな。こんなに面白いことはない。ジュラルミン、面白かったら笑え!」
可憐な乙女とはほど遠いが、男の心がそうさせていると思うことにしよう。

リボンの騎士は、女性は王位につけないという因習にとらわれた国を舞台に、一人の王女が因習を打破する物語といえるかもしれないが、今回のお話は、因習に異を唱えて勝利する点で今後の展開を予感させる。
男性社会に対する女性の反撃?を男性である手塚治虫が描いているのは興味深い。真の意味での男女平等、男の心、女の心、それぞれの長所、短所を認めながら、平等に…というようなメッセージなのかもしれない。