酔っ払ったマルセルに肩を貸し、ロザリーは店を出た。見上げれば美しい月が出ていた。
祖母が亡くなり、父が病に倒れた時、真っ先に援助を申し出てくれたのはファブリだった。
弟と二人これからどうやって生きて行けばいいのか途方にくれていたロザリーにとって
ファブリの申し出は涙が出るほど嬉しかった。
だが思う。何故、あの時素直にペリーヌに助けを求めなかったのだろうかと?
結果はこの有様だ。ファブリの求めを拒むことは出来なかった。
結婚は出来ないと言われた時も頷くしかなかった。
二人で出かける事も、人前に出る事も無い。
ただ、月に数回ファブリがロザリーのもとへやってくるだけだ。
ロザリーの淡い夢は早々に打ち砕かれた。

ファブリに与えられたアパートの自室にたどり着くとマルセルが抱きついてきた。
「ロザリー、ロザリー。。俺。。」
ベッドに押し倒され服を脱がされながらロザリーはぼんやりと考えていた。
この男もペリーヌの名を呼ぶのだろうか?