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セディ「うーん、パパもパパだし、お祖父さんもお祖父さんだよ。
もっと他人を労わったら?」
ハビシャム「言い過ぎた。悪かった。でも何でそんなに腹を立てるんだい?」
そこでアニーは言った。
アニー「あなた、やっぱり子供の前では大人の醜さを晒さない方がいいわ。
お父様にもこのことはきちんと話しておいた方がいいわ」
アニーはセディの将来が心配になった。というのもフランス革命以降、世間では
貴族への懐疑的な世論が高まっていたからだ。イギリスでも民主主義が
唱えられてからアメリカが独立し、自由と平等を謳った国で育ったセディには
イギリスでの出来事は考えられないことばかりだったからである。

ハビシャム「セディ、御前は仕事をしていないわけではないのだよ。本当は
今日だってドリンコートへ戻ってアールスコートの増設工事の打ち合わせや
書類作成でお戻りになるはずだった。昨日の出来事で熱を出し、変わりに
セディが仕事をすることになった。じゃなかったかな?」
セディ「あー、そうだった。変なことを言ってごめんなさい」

アニー「やっぱりお父様も昨日、あれだけ大変な目にあったのに朝からあれでは
示しはつかないわね。お父様とメロンさんに言っておいた方がいいわね」
ハビシャム「そうだね。お元気になられたのは結構だけど昼間からあれでは
セディが誤解するのも無理からぬことだしね」