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そこへ馬車がやってきた。
御者「どう、どう…」
ハビシャム「御前、お待たせいたしました。どうぞお乗りください」
伯爵「うむ」
そう言って伯爵とメロンが先に乗った。
ハビシャム「あれ?セディはどううしたんだい?」
アニー「セディは先に走って行きましたよ。近くなのに乗り物に乗って行くなんて
自分には合わないと思ったのでしょうねえ」
ハビシャム「そうだったのか。じゃあローズィ、お前も乗りなさい」
ローズィ「あら?若君が歩いていったのなら私も一緒に歩いて行けば良かったわね。
2人だけでもお話もしたかったし」
ハビシャム「お前も乗せようとせっかく大き目の馬車にしたんだから乗りなさい」
ローズィ「若君も行ちゃったし、しょうがないわね。今度は若君に声を
かけてもらうよう頼んでみるわ。こう見えても私も若君と同じ若いんですからね」
ハビシャム「おいおい、私たちを一気に年寄り扱いか?」
ローズィ「アニーさんは別よ」
ハビシャム「やれやれ…」

気短の伯爵はそのやり取りにイライラしてきた。
伯爵「ハビシャム、つべこべ言わず早く乗って馬車を出してくれ。いつまでも
馬車に乗っていると腰が痛くなってくるわい」
ハビシャム「は、失礼いたしました。マイク(御者名前)、馬車を出してくれ」
御者「はい」
馬車は小気味良い蹄の音を立てて走りだした。