原作での正体チョンバレシーン

「あなたが調査を依頼なさった代理人の予想通り、何度も足跡が分からなくなりましたが、
そのお方はパリへおいでになりました。
そこで死亡証書を調べてみますと去年の6月に
エドモン・ビルフラン・パンダボアヌ氏未亡人マリ・ドルサニという証書を見つけました。
これがその証書の正本でございます」ファブリはそれをビルフランの震える手に渡した。
「読みましょうか?」
「名前は確かめたか?」
「それはもう」
「では読まんでもよい、後で見よう、話を続けてくれたまえ」
「私はその証書だけでは済まさずに、その方の亡くなられた家の持ち主、
鹽爺さんというのにも問いましたし、
またその気の毒な若い御婦人の臨終に立ち会った侯爵夫人という街の唄うたいや
古靴屋の黙り屋さんなどという連中にも会いました・・・・・
中略・・・・・この人々はラ・ルクリという屑屋のうちに私を案内してくれまして私の調べはつきました。
その屑屋には昨日田舎から帰ったのに会ったばかりのところです」
ファブリはひと息ついた。そうして始めててペリーヌの方に向いて丁重に挨拶した。

「お嬢様、(パリでは)パリカールにも会いましたよ、元気にしておりました」