コズマ編より

倒れた私の体をサイボーグマンのひとりが足で転がし仰向けにさせた。
銃弾の食い込んだ手足から悲鳴のように痛みがやってくる。私がうめくと
サイボーグマンが哂った。
「こいつ、人間並みに痛がりやがって。でも今度はいい気持ちにさせてやるぜ。」
28号の指示に従って29号と30号は黒いアタッシュケースを持ってきて私の横に置いた。
何をするつもりだ?
29号は私の胸のハッチを開いて中を覗き込んでいる。細いドライバーが差し込まれ体内の回路がいくつか切断されたらしく、力が抜けていくのを感じた。
「あったぞ、おもったとおりだ」
29号は30号に目配せすると30号はアタッシュケースを開いてコードを何本か引き出してきた。
「この端子は原子炉調節器と交感神経回路につなげ、そっちは電子頭脳だ。」
頭のハッチをなすすべもなく開けられ不安な表情になった私に29号は嫌らしい笑いを浮かべると
「もうすぐおまえにいいおもいをさせてやる。ロボットが耐えられるかわからんがな。」
接続が完了したらしく28号は私をみやるとアタッシュケースの前の30号に言った
「始めろ」
その瞬間、私を衝撃が襲った。私は白熱して意識一瞬失い、気付くと私はあらんかぎりに大声で何かを叫んでいた。
サイボーグマン達が冷ややかに笑った。
「こいつ、人間様並にいくじゃねぇか。」
一体何をしたのだ。頭が、電子頭脳が、熱い。加熱、している。
あの一瞬、私はかつて人間だった時の感触を取り戻した気がする。しかしそれに今の体は耐えられない。
「次、やれ。」
やめてくれ、と言おうとしたが意思とは無関係に体は別な叫びをあげた。あの波が、熱がまた私の電子頭脳を焼く。

私は腰が灼熱するのを感じた。この突き上げる熱、熱。
28号はのた打ち回る私をせせら笑いながら言った
「この装置はもともと俺たちサイボーグマンのストレス解消のために作られたものだがお前たち試作ロボットの電子頭脳を侵食するのにも使えるんだ。
貴様らの電子頭脳は俺たち人間の脳の生理的現象には対応出来ずに人格が崩壊して記憶だけになってしまう。」
「おい見ろよ、こいつもらしちまったぜ」
潤滑油のポンプが暴走したのだろう。足の付け根からシリコーンオイルが漏れ出してきた。