今の最高度の科学技術を使えば、かなり退色したカラーフィルムからも
ある程度は映像を復元できる。それは本来の色素が経年により酸化や分解
などの化学変化で本来の色素が壊れて別の物質に変わってはいるが、
それらの変色したあるいは退色した化合物自体はフィルムの膜面に残留して
いる。三原色を表わしていた色素は別の物質だったわけだから、それぞれの
物質から生じた各種化合物は赤外線や可視光などに対する分光スペクトルの
挙動が異なる。そこでそういった要素を考慮して、3色だけでなくて、
もっと波長を細かく制御して変えながらフィルムのコマに当てて透過して
得られた画像(光の強度分布)を得て、それらの数多くの波長でとった
映像をもとにコンピュータで分析をして元の三原色を表わしていた色素の
分布割合を推定するのだ。