「ガリッ、ゴリゴリ」
千石の頭蓋骨が今にも噛み砕かれそうな嫌な音を立てはじめた
強気な言葉とは裏腹に、千石の中では諦めの気持ちが頭をもたげる

「ズドーーーンッ!」

鈍い音と共に千石の頭部が開放される
目の前にあった黒い塊がゆっくりと崩れ落ち
さっきまで跨っていた塊の下敷きになった小さな老人がうめき声を上げる

「ウグッ・・・」

周囲を見回す千石の視線の先には
グリズリー・ウイン・マグを構えた一人の少女が立っていた

「しょうたん、大丈夫!」

声をかけられた千石が呟く「助かった・・・」

額に大穴をあけられたエゾヒグマの体からなんとか抜け出そうともがくムツゴロウに
殺意のこもった表情で一歩ずつ近づく少女



「ムツのじじい、ギザぶっ殺す!」