いつまで大赤字に耐えられるのか−。ラグビー界から行く末を危ぶむ声が続出する新リーグが、来年1月7日にスタートする。プロとアマチュアの間で揺れた妥協の産物との不安は尽きない。

本来は華々しいプロリーグが発足するはずだった。日本ラグビーフットボール協会の清宮克幸副会長が主導し、日本開催の2019年W杯後に向け折衝を重ねていたが、チームを運営する大企業の抵抗に遭い計画は頓挫。清宮副会長のバックには森喜朗前会長の強力な支援があったものの、花園ラグビー場の指定管理を巡る東大阪市との交渉に失敗したこともあり、表舞台からドロップアウトしてしまった。


 当初の予定より大幅に遅れて、今年7月16日に発表された新リーグの名称は「ジャパンラグビーリーグワン」。1部12チーム、2部6チーム、3部6チームの計24チームで初年度を迎えるが、この振り分けの基準も中途半端なプロ化のあおりで曖昧なものとなった。

 全チームがアマチュアなら競技力、つまり強いチームから順にシンプルな格付けが可能。一方、プロならどんなに強くても収支が赤字なら立ちゆかない。スポーツビジネスに特化した別会社の設立や専門人材の採用を進め、スポンサーの開拓やグッズの制作による売上増加を図る必要がある。

 新リーグでは試合の運営権をチームが持ち、チケットを自前で売る方式が導入されるなどプロに半歩は近づいたが、大半のチームが本格的な事業化には尻込みした。プロ形態をとるチームは静岡ブルーレヴズ、東芝ブレイブルーパス東京の2つのみ。1部の親会社はトヨタ自動車を筆頭に日本を代表する大企業揃いで、従来通りチーム運営は必要経費として負担する構えだ。

 ラグビーチームを抱える企業各社は19年の自国開催のW杯に向けて大盤振る舞いを行い、1社あたり年間約20億円の経費を負担してきた。ただ、W杯の熱狂からコロナ禍を経て2年が過ぎた今、活動停止を決めたコカ・コーラウエスト、縮小中のサニックスなど足抜けも始まっている。

独立採算を目指すプロ志向派と、親会社の顔色が第一のアマ堅持派が混在する、ラグビー新リーグは同床異夢に悩まされるのか、それとも呉越同舟で盛り上がれるのか。
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