>>244
 これはマンガの方でも、ここら辺はたっぷりと描いてるんですけども、
基本的にわりと社会的なメッセージがすごい強いマンガなんですよ。

 たとえば現実の世界で「引きこもりの人が事件を起こした」と報道されるとですね、その報道されたニュースを見た人達は、
普通は「じゃあ、引きこもりに対する規制法とか対処法は無いか?」と、そっちの方ばっかり語ってしまいます。

 「お年寄りが車の運転ミスをして、どこかに突っ込んだ」というニュースを見たら、
「運転免許はどうするのか? 取り上げるのか?」とか、そういう対処法の方にばっかりに目が行くんですね。


 それは何でか?

 こういう社会的事件に関して報道されると、「それに対する対処法を出せ!」と大衆が騒ぎ出すのは何でかっていうと、
“怒り” とか “恐れ” っていうのを前提で物事を見てるからなんです。

 これが原作に入っている社会的なメッセージの複雑さなんですね。


 それに対して、エレンが語っている「なぜアルミンを選ぶべきか? 生かすべきか?」という理由は違うんですよ。

 「“対処” ではなくて、無責任なまでの “夢” や “希望” というものを我々は選ぶべきだ」と言っているんですね。


 アルミンは「海を見たくないか?」と言ってくれたと。

 それはアルミンにとって無責任な夢なんです。

 だから、たとえばさっきの引きこもりとか、お年寄りの暴走運転とかでも全部同じなんですよ。

 それに対して「いや、そういう人間も肯定すべきだ」とか、「お年寄りから免許を取り上げるべきではない」っていうのって、
すごい無責任な肯定的な楽観的な意見なんですね。