>>120
 さっき「『王立』では“完璧な異世界”を作ろうとした」と言いました。
では、完璧な異世界というのは、これら普通のやり方と何が違うのかというと、
ここにさらに“時間の厚み”というのを足したんです。

 では、時間の厚みとは何か?

(パネルを見せる) http://livedoor.blogimg.jp/okada_toshio/imgs/a/f/afa66044.png

 これは、さっき紹介した文字や数字が、その形になる前の原型の紋章です。
 例えば、「三匹のサンショウウオ」とか、もしくは「彗星」とか、こういうマークまで考えたんです。
この他に「神殿を作る場所を教えてくれた蟹」みたいなものもあります。

 「このような、言い伝えや伝承に由来する紋章が、それぞれの文字の原型になっている」と。
こういった由来を、ほとんど全ての文字に対して考えたわけです。

 つまり、これらの文字には「もともとは象形文字だったものが簡略化されて筆文字になって、
その筆文字を更に簡単に書きやすくするために活字になった」という歴史があるんです。

 なぜ、筆文字を活字にする必要があるのかというと、筆文字というのは“タッチ”とか
“線の伸び”とか“太さの差”があるので、あまり印刷に向いていない。

こういうものを印刷しようとすると高く付くんですね。なので、楽に活版印刷に載るように活字化されたんです。
 『王立』に登場する異世界文字には、こうやって歴史性という厚みを加えています。

 さらには、この文字の設定から「この世界の貴族たちは、こういった活字を“庶民の文字”として軽蔑していて、
あくまで手書きの筆文字、または象形文字そのものを読み書きすることを好んでいる」という
“身分差”が発生していて、彼らの階級文化というのが生まれていると設定しました。
・・・
 こういった「異世界を構成する設定の1つ1つに歴史性の厚みを加える」というのが、この作品全体に共通するルールなんです。

 例えば、『王立宇宙軍』に登場する戦闘機がありますね。こういうやつです。

(プラモデル) http://livedoor.blogimg.jp/okada_toshio/imgs/c/2/c288b5ff.png