2018年09月13日07:00
【岡田斗司夫ゼミ室通信】手塚治虫にはできなかった実写的演出術 『機動戦士ガンダム』より
http://blog.livedoor.jp/okada_toshio/archives/51550432.html

前回の「死闘!ホワイト・ベース」でランバ・ラルの精鋭部隊はホワイトベースに乗りこんだけれど全滅、
ランバ・ラルも死んでしまいます。それでも、ランバ・ラル隊にはまだ残された者がいて、
まだ戦意があったというところで前回が終了、今回の「激闘は憎しみ深く」になります。

ではシーン1からいきましょう。

今回シーンという言い方をしてみます。実写映画で撮ったらどういうふうなシーン進行やカット割りになるのか
という視点で解説していきます。

シーン1、いきなり砂漠の夕日から始まります。夕日をなぜこんなデカく描いているのかというと、
これ、砂嵐が起きている時の夕日なんですね。だから、ギラギラ光っています。
おまけに風が吹いて、太陽がユラユラユラユラしているところから始まります。

   画像  http://livedoor.blogimg.jp/okada_toshio/imgs/c/b/cbb503d0.png

(中略)

こういう夕日を、なぜ最初のカットに入れるのか。
これで、ドラマに厚みがでるからです。

この回は、戦闘前日の夕方から始まって、その夜を描写して、夜が明けて朝になって、
いよいよハモンたちの復讐が始まるという構成をとっています。

最初の1カット目こういう情景描写を入れることで、すごくドラマが深くなる。
これは、漫画の手法なんです。漫画ってシーンが変わったら、捨てカットみたいに、太陽描いたり、夜描いたりする。
読んでいる人に、時間経過を感じさせたり、新しい一日が始まったというのを意識させるための描写です。

昔、虫プロで働いて、手塚治虫にすごく傾倒していた富野由悠季は、この漫画的な手法を、ごく自然に作品に入れています。
これが、本来あるべきであった手塚アニメと言えます。

手塚治虫さん自身は、コンテを描く時、こういう手法を使うのがすごい下手なんですよ。