>>430
 ただ、その宮崎駿も変なんですよ。
 宮崎駿は、漫画家としての手塚治虫は凄く尊敬してるんですね。

 でも「アニメ作家としての手塚治虫は、もう本当にスケジュールもデタラメだし内容もデタラメだから、
あの人の作品は何一つ意味がありません」というふうに、手塚治虫が死んだときに言うような人だったんですよ。
 宮崎駿は。

 ただ、漫画家としての手塚治虫は、もう最後の最後まで尊敬していたと。
 それで、一番影響を受けた手塚治虫の実質的なデビュー作、単行本描き下ろしの『新宝島』って本があるんですけども。
 宮崎駿は、子供の頃にこれを読んで、凄い影響をされたと。
 だからもう神格化されてるんですね。
 で、もう手に入らないような本だったんですけども。

 ところが後年、平成になってから復刊されたと。
 『新宝島』の版が見つかって、出版されたんですね。

 それを鈴木敏夫が「宮崎さん、これ出ましたよ」って見せたら、宮崎さんは「俺に見せるな!」と。
 「俺に近づけるな!」って言うんですね。
 それは何でかっていうと、「自分の中で、もうすでに固まってしまっている最高の『新宝島』が崩れるから」
というのが理由だったそうなんですけども。

 それぐらい『新宝島』っていうのを、漫画家としての手塚治虫っていうのを神格化していたんですね。
 「穢(けが)れる!」って言ったそうなんですけども。

 「自分の中の手塚治虫が穢れるから、見せないでくれ」って言ったんですけども。
 その宮崎駿と手塚治虫っていうのは、お互いにリスペクトし合うんですけども、嫉妬もし合って。
 神格化をしたかと思えば、ほんのちょっとでも気に入らない所があったら、本当にもうボロクソに言うような関係でもあったんですね。

 だから、手塚治虫と、宮崎駿と、鈴木敏夫の、この三人のBL関係を誰かが描いてくれたら、俺は絶対にニコ生ゼミで紹介するんでですね(笑)。
 もし誰かが描いたら、もしくは「すでに、そういうのがあるよ」というのがあれば、教えて頂ければありがたいと思います。
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この記事は『岡田斗司夫ニコ生ゼミ』8月26日分(#245)から一部抜粋してお届けしました。