>>877
科学の進歩には終わりがなくて、人間が技術に文句を言うというのは決してなくなりはしないんだけど、
時代が進めばもっと良い時代に変わっていく、と。

 このアトラクションを通じて、観客が受ける印象と、実際にキャラクターが喋るセリフの間にある温度差というのは、
高畑勲の演出に近いんですよね。

 高畑勲の演出というのは、「キャラクターが言っているセリフに酔ったり浸ったりするんじゃなくて、
時に批評的に、上から目線で見て考えて欲しい」というものなんですけど。

このカルーセル・オブ・プログレスというのは、完全にそれと同じ構造になっているんですよ。

 舞台上でロボットたちが歌っていることというのを、僕らは「彼らはそういうふうに思ってるけど、
実際にはそうじゃなくて、どの時代でも、人というのは同じようなことを思ってしまうんだ」というふうに、
俯瞰的に見ることができる。こういった、高畑勲があんなに一生懸命やろうとした演出を、
ディズニーはこのロボット人形劇で軽々とやってるんですよね。

 僕はもう、この物創りに対する視点に感動すると同時に、空恐ろしくなりました。
 とことん「こんなものに僕は追いつく日が来るのだろうか……」と、すごく恐ろしくなったんですよ。
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この記事は『岡田斗司夫ニコ生ゼミ』6月10日(#234)から一部抜粋してお届けしました。

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岡田斗司夫
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