>>874
 カルーセル・オブ・プログレスというのは、こういう構造で出来ています。

 舞台が円形になっていて、それぞれ壁に仕切られた1から4までのステージがあるんです。
 お客さんは、その円形の舞台の外側に座るんですよ。で、1つのステージでの出し物が終わる度に、真ん中の円形ステージではなく、
周りの観客席自体が90度周って、ステージ2、ステージ3、ステージ4というふうに移動する。
 ステージ1が1901年、20世紀最初の年のバレンタイン。ステージ2が1920年という、第1次大戦が終わった頃の世界になっています。
・・・
 第1幕の幕が開くと、1901年のバレンタインのジョン一家の様子が描かれます。

 まだ電気がない世界です。台所には、手押し式の水出しポンプや、石炭式のオーブンがあります。
 ジョンはすごく満足そうに、「見てくれ、これを! 20世紀ってすごいよ! とうとう俺の家にも“水道”ができた!
もうこれで遠く離れた川まで水を組まなくても、あのポンプをいじるだけで、水がいくらでも出てくるんだ!
いやあ、科学っていうのはすごいよな! おまけに、見てくれ! これは最新式の“石炭オーブン”だ!
これでおふくろは上手いパイを作ってくれるし、いつでもコーヒーが飲めるぜ!」というようなことを言ってるんですね。

 ジョンは、ここで「1901年の世界というのが、いかに満足いく世界なのか」ということを、観客に向かってさんざん訴えかけるんですよ。
「それまでと全く違って、俺達は本当に歴史上でベストの時代を生きている!
Now is the time,now is the best time.Now is the best time of your life.〜♪」って歌いながら、メリーゴーランドが回転していくんです。


 すると、次の第2幕では、1920年の独立記念日のジョン一家の様子が描かれます。

 そこでのジョンは、また満足そうにこう言うんです。
「ついに来たよ! “電気”だ! 見てくれよ、スイッチひねっただけ灯りがつくんだ!
“ラジオ”って知ってる? ラジオからアメリカの国歌が流れてくるよ! うちの息子もラジオにかじりついてるし、
娘なんか髪の毛に電気アイロンを当てはじめたよ! このままじゃ不良になっちまうんじゃないかな?」って。

 そうやって、掃除機とか冷蔵庫が冷えてるというようなことを言って、最後にオチとして
「全部の電化製品をつけたから、ヒューズが飛んでしまう」ということがあるんですけど(笑)。

 ここでも、また「Now is the time,now is the best time.〜♪」という歌が掛かって、観客席がグルグルグルっと周るんです。