>>744
 僕、ここでの体験以降、何回も乗ってみて、やっとわかったんですけども、
これらは「死後の世界や海賊のいる時代に迷い込んでしまう映画の主人公になったような体験をさせよう」
という、新しい形式の映画なんですね。

 アトラクションじゃなくて、これは映画なんですよ。
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 その後、エレクトリカルパレードを見てから、花火を見るという、
ディズニーランド全体を楽しみながら歩いてたんですけども。

 エレクトリカルパレードというのも、巨大なドラゴンが鼻からグワーっと蒸気を出して観客をビビらせたり、
巨大なチューリップみたいな花が咲いている上に不思議の国のアリスがかわいく座って手を降ってたりするんです。
あとは、全身に電球をつけて踊るダンサーとか。

 花火も打ち上がる時に音楽がついていて。こういう光景の全てが“生まれて初めて”だったんですよ。
 特に、花火に音楽がついているのなんて、僕は実家が大阪だから、PLの派手な花火とかをよく見ていて
慣れていたはずなんですけども、音楽がついているとすごく見えるんですよね。

 これらのエレクトリカルパレードも花火も、全て“死と再生”、つまり
「人間が死んでしまうことと、その世界から再生すること」がテーマとなって繋がっているんですね。

 ホーンテッドマンションから、ジャングル・クルーズもそうですし、カリブの海賊も全て、
「一度、別世界……というよりは、“死後の世界”に行って帰ってくる」というのがテーマになっているんです。
・・・
 なぜ死ぬのかというと、それは再生するため。太陽が西に沈んで、死の世界、夜がやってくる。
しかし、その夜をなんとか乗り越えると、次の日には太陽がまた登ってきて、生き返る。
これはあくまでも自然現象なんですけど、僕らはそれに、なんとなく神話的な構造を感じちゃうんです。

 こういった、「日常に元気を取り戻すために、一度、死の世界をくぐり抜ける」というテーマ性を、
アトラクションの中に意識的に取り入れてるんですね。

つまり、ディズニーランドというこの施設全体が“そこを訪れた人にとっての復活祭”という仕組みになっている。

 おそらく、これは映画という産業自体も同じ構造なんですよ。
なんで僕らは、暗い部屋の中で、他人の人生のピンチとか、そこからの回復を見たら、終わった後で元気が出るのかというと、
やっぱり、心の中で復活祭というのが行われて、リフレッシュされるからなんです。

 そういうことが、ディズニーランドにいる中で、徐々に徐々にわかってくるんですよ。