>>781
 そんななこんなで散々もめて、「もうわかったよ! 東京ディズニーランドは1箇所で乗って、
1箇所で降りることしかできなくていい!」と言って、こういうふうな形になっちゃったんですね。

 ところが、その法律も20世紀の末くらいに撤廃されちゃって、今、ディズニーシーにある市街電車は、
ちゃんと「降りる場所と乗る場所が別々」という形になってるんですね。
 ここら辺の日本での規制に関しても、ディズニーランドはメチャクチャ苦労してますね。
・・・
 あとは、ディズニーのわけのわからない本物志向として、“ビッグサンダー・マウンテン”というジェットコースターが、
ディズニーランド内の“クリッターカントリー”の近くにあるんですけども。

(パネルを見せる スチームトラクター) http://livedoor.blogimg.jp/okada_toshio/imgs/b/1/b1437073.png

 これは“スチームトラクター”といって、石炭を焚いて蒸気で動く、大昔のトラクターなんですね。
これがクリッターカントリーに置いてあるんですけども。

 近くを通る人は「ああ、いい感じの偽物が作ってあるな」と思うだけで通り過ぎちゃうんですけども、
これ、実は年代物の本物なんですよ。

 どれくらい本物かというと。もともと、オリジナルのディズニーランドが、
カリフォルニアのアナハイムというところで作られた時、
“オレンジカウンティー”というだけあって、その一帯はオレンジ畑ばっかりだったんですね。

 そんなオレンジ畑を持っているオッサンが、ディズニーランドに土地を売却したんですよ。
「俺のところのオレンジ畑を売ってやるよ」って。

 そして、土地売買をする時に、ウォルト・ディズニーがこのトラクターを見つけたんですね。
 ウォルトは、もう、乗り物大好きだから、ものすごい喜んじゃって、
「うわー! 蒸気スチームのトラクターがある! 売って、売って!」って言ったんです。
だけど、「いや、これだけは売らない」と言われたんです。ウォルトはすごく悔しかったけど、売って貰えなかったんですね。

 時は流れて、ウォルトが死んで、1971年に今度はフロリダにディズニー・ワールド作ることになった時にも、
もちろん、この蒸気トラクターを買い取ろうと、ディズニー社は交渉しに行ったんです。

 「あれ、まだある? 売って」と、そのオレンジカウンティーのオッサンのところに行ったんですけど、
やっぱり「しつこいぞ! 売らない!」というふうに言われました。

 さらに、その次に、1990年か91年くらいに『バック・トゥ・ザ・フューチャー3』を作ることになった時、
ロバート・ゼメキスが、ルーカスフィルムを通して、このスチームトラクターの話を聞いたんですね。

 「これは、ドクの工場の背景として、ぜひ欲しい! 頼む! 貸してくれ!」って言ったんですけど。
またそのオッサンは「貸さない!」というふうに言ったんです。
 つまり、3回も断られてたんですよね。