>>551
 この辺りの考え方が、僕は面白くて好きです。
 「本物を作ろう」じゃないんですよ、絶対に。
「そこに行った時に、一番面白い映画のセットを作ろう」という考え方だから面白いんです。
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 まだまだ基礎編が続きます。

(パネルを見せる シンデレラ城)
http://livedoor.blogimg.jp/okada_toshio/imgs/d/f/dffa3bef.png

 はい、これはもう、ご存知の通りのディズニーランドのお城、“シンデレラ城”です。
 シンデレラ城というのは、高さが51mあります。……まあ、「51mある」というよりは、
「51mしかない」んですけども。ビルでいうと大体16階建てくらいだと思います。

 もちろん、この建物も縮尺で嘘をついているんですけども、縮尺以上に面白いのが“色使い”なんですよ。
本当の城にはないような色使いしているんです。

 本当の城だったら、例えば屋根とかにオレンジとか赤とかを使うんですけども、ここでは絶対に使わないんです。
 なぜかというと「城を大きく見せるため」なんですね。

 シンデレラ城は、基本的にベージュっぽいホワイトで、屋根とかの部分を青で塗装してあります。
 こういう寒色系の色というのは、明度を落とした場合、
“後退色”と言って、実際の場所よりも後ろにあるように見えるんですね。
 ちょっと離れたところからこの城を見ると、それがわかりやすいと思います。

(パネルを見せる シンデレラ城2)
http://livedoor.blogimg.jp/okada_toshio/imgs/e/1/e12fbe31.png

 園内の少し離れた場所からシンデレラ城を撮ると、手前の方に必ず緑が入るように配置されているんです。
 緑というのは“前進色”で、実際の位置よりも前に見える。そして、城自体は後退色なので、
目の錯覚によって本物よりも遠くにあるように見えちゃうんですよ。

 おまけに、デイズニーランドの中というのは、入り口近くとか人目があるところで風船を売っている。
この風船の彩度、明度の高い派手な色が入ると、やっぱり風船の方が前に来るように見えるから、
その効果で、お城はさらに遠くにあるように見える。
 こういうことをやってるんですね。
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