>>978
 翁から「危ないから向こうに行ってなさい」と言われた時のタケノコは、まだ着てる服がブカブカです。
袖も手首まであって、裾も足首の辺まであります。

 ところが、イノシシの子供と遊んでいたタケノコは、うっかり母親のイノシシに襲われてしまいます。
そこを危うく捨丸兄ちゃんに助けられるんです。

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 捨丸兄ちゃんに抱きかかえられるようにして藪に落ちたタケノコは、あっという間に大きくなっているんですよね。

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捨丸兄ちゃんも、「あれ? お前、急に大きくなってないか?」というふうに驚くんですけども。

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 タケノコが成長して、かぐや姫と呼ばれるようになってから、「あの頃に帰りたい。野山の中に帰りたい。みんなと一緒に」
とかうったえるんですけども。

 ここでいう「みんな」とか「あの頃」というのは、“男の子ばっかりの世界”であるということが、こういった描写からわかるんです。
 この作品の中では、「男性社会の中で、かぐや姫という1人の女の人権が、いかにして侵されていったのか」
という女性問題的なテーゼがわかりやすく描かれているんですけども。それと同時に、高畑勲は「かぐや姫というのは、実は、
小さい頃から男ばかりを相手にしてるような女なのだ」ということも、わかりにくくも、しっかり描いているんですよね。

 まあ、それは本人の性というよりも、おそらく、かぐや姫が地球に持ってこられた時に植え付けられた属性とか
能力みたいなものとも関係しているんじゃないかと僕は考えてるんですけど。これについては後でゆっくり話します。

 とりあえず、「画面の中から慎重に女子が外されている」ということだけ覚えておいてください。
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