2018年05月30日07:00
『かぐや姫の物語』解説2 「タケノコはセックスを連想させる場面で急成長する」
http://blog.livedoor.jp/okada_toshio/archives/51548003.html

 一番最初、竹林の中から翁が見つけた時のかぐや姫は、“すごく小さな姫君”だったんですよ。
 だけど、家に連れて帰って、それを媼に見せると“赤ん坊”になるんです。
 媼が抱いて歩いて、「ああ、これはおっぱいをもらわないとダメだわ」と言って、橋を渡ろうとすると、
お婆さんの媼のおっぱいが張ってしまって、いきなり母乳が出るようになります。

 描写を見ている限り、この媼と翁の間には、子供がいないような感じなんですね。
つまり、この媼は、“石女”という、いわゆる子供を産めない女の人なんです。
 にも関わらず、いきなり乳が張って、おっぱいが出るようになる。これは一応、民話とか神話とかではよくある話です。

 そして、このおっぱいを吸うと、また、いきなり成長しはじめます。「なんだか急に重くなりました」というふうに、お婆さんが言うんですよね。
 これ、赤ん坊がおっぱいを吸うだけのシーンだから、僕らは「ああ、それだけのことなんだ」と、ごく自然に受け止めてしまうんですけども。
 これは、一番最初の大きな成長を「赤ん坊がおっぱいを吸うシーン」として見せることで、ミスリードしているんですね。
・・・
 実は、幼少期に“タケノコ”と周りから呼ばれていたかぐや姫には、「セックスを暗示する場面でのみ大きく成長する」という特徴があるんです。

 例えば、この次にタケノコが大きくなったのは、「カエルを追いかけてる時」なんですよ。
 まだハイハイもできない状態から、カエルがピョンピョンと跳んでいるのを見て、急に嬉しそうに寄っていきます。
すると、そのカエルが2匹で繋がるんです。そうしたら、いきなり成長して、近づいていくんですね。
 これについては、絵コンテにも「急に加速して追いかける」というふうに指示が書いてあります。

(パネルを見せる:カエルの抱接) http://livedoor.blogimg.jp/okada_toshio/imgs/6/4/64253251.png

 このくっついている状態のカエルというのは何かというと、カエルの求愛行動なんですよ。交尾ではなくて、“抱接”と言います。

 これ、何をやってるかというと、オスのカエルがメスのカエルの上に乗っかってお腹を激しく抱えることによって、
メスのカエルに卵を産ませているんですね。
そうやって産ませた無精卵の上からオスのカエルが精子をかけることによって繁殖しようとしてるんですけど。

 ただカエルを見て喜ぶ無邪気な姿を描きたいのなら、こんなものをわざわざ描かなくていいんですよ。
普通にカエルだけを描けばいいのに、わざわざ絵コンテにも「抱接をしているカエル」という指示があるんです。