2018年05月29日07:00
『かぐや姫の物語』解説1 「高畑勲が描こうとしたのは女性問題だけじゃない」
http://blog.livedoor.jp/okada_toshio/archives/51548002.html

(かく?や姫の物語) http://livedoor.blogimg.jp/okada_toshio/imgs/8/3/839e83b6.png

 今回、『かぐや姫の物語』を語るにあたって、同じく高畑勲監督作品である
『火垂るの墓』とちょっと比べて話してみたいと思うんですけども。

 「『火垂るの墓』は反戦をテーマにしたアニメでは全くない」ということは、先月にもお話した通りです。
これについては、もう、高畑さんも何度も「反戦アニメではありません」と言っています。

 しかし、これを見た大部分の人は「戦争の愚かしさや虚しさを描いたんだ」とか、
「それに振り回された兄妹がかわいそうで泣ける」という感想を持ってしまっています。

 この理由について、僕は「“生クリーム”が美味しすぎるからだ」と考えています。

・・・・・・・・・・・・

 これ、どういう意味かというと。先週の『マツコの知らない世界』で、ディズニーランド特集をやったんですよね。
その中に、ジャニーズの俳優の風間俊介さんという人が出てきてこんなことを言ったんですよ。

 「今回のマツコさんに対するプレゼンでは、隠れミッキーとか、最新アトラクションや、パレード、グルメを扱いません!
なぜなら、ディズニーランドにおける隠れミッキーとかアトラクションというのは、パフェでいうところの
1番上に乗っかっている生クリームのみたいなものであって、それだけを味わってディズニーを知ったつもりになるのは、
本当にもったいない。だけど、あの生クリームが美味しすぎるから、
みんな生クリームこそがディズニーランドだと思っちゃってるんです!」と。

 これ、すごく上手い表現だったので、僕もちょっとお借りしたいと思うんですけども。
この『かぐや姫の物語』にも“美味しすぎる生クリーム”が上に乗っかってるんですよ。

 それは何かというと、“女性問題の描き方”と“絵本が動いたような作画”なんですね。
この2つがあまりにも見事すぎるから、ついついみんな「これがテーマなんだ」と勘違いしちゃうんです。

(コメント)「それは“美味しいクリーム”なのか?」

 ――というツッコミがコメントで入りましたけど。
その意味でいうと、隠れミッキーとかアトラクションについて、美味しいクリームだと全く感じない人もいるんですよ。

 これについては、次の次くらいの放送で話すことになるだろう“ブラディズニー”という、
ディズニーランドに1人で行く時の楽しみ方という話の中で、ゆっくり語ってみたいと思います。

・・・・・・・・・・・・