2018年05月28日12:00
「特集『かぐや姫の物語』姫の犯した罪と罰〜アニメ界の怪物・高畑勲が描いた世界で最も美しい怪物」
2018年5月20日号ニコ生ゼミ テキスト全文公開
http://blog.livedoor.jp/okada_toshio/archives/51548027.html
より

【高畑勲の演出意図は、生クリームが美味しすぎて伝わらない】

 『かぐや姫の物語』を、同じく高畑勲監督作品である『火垂るの墓』とちょっと比べて話してみたいと思うんですけども。

 「『火垂るの墓』は反戦をテーマにしたアニメではまったくない」ということは、先月にもお話した通りです。
これについては、もう、高畑さんも何度も「反戦アニメではありません」と言っています。
 しかし、これを見た大部分の人は「戦争の愚かしさや虚しさを描いたんだ」とか、
「それに振り回された兄妹がかわいそうで泣ける」という感想を持ってしまっています。
 この理由について、僕は「「生クリーム」が美味しすぎるからだ」と考えています。

 これ、どういう意味かというと。先週の『マツコの知らない世界』で、ディズニーランド特集をやったんですよね。
その中に、ジャニーズの俳優の風間俊介さんという人が出てきてこんなことを言ったんですよ。

 「今回のマツコさんに対するプレゼンでは、隠れミッキーとか、最新アトラクションや、パレード、グルメを扱いません!
なぜなら、ディズニーランドにおける隠れミッキーとかアトラクションというのは、パフェでいうところの
1番上に乗っかっている生クリームのみたいなものであって、
それだけを味わってディズニーを知ったつもりになるのは、本当にもったいない!
だけど、あの生クリームが美味しすぎるから、みんな生クリームこそがディズニーランドだと思っちゃってるんです!」と。

 これ、すごくうまい表現だったので、僕もちょっとお借りしたいと思うんですけども。
この『かぐや姫の物語』にも「美味しすぎる生クリーム」が上に乗っかってるんですよ。

 それは何かというと、「女性問題の描き方」と「絵本が動いたような作画」なんですね。
この2つがあまりにも見事すぎるから、ついついみんな「これがテーマなんだ」と勘違いされちゃうんです。

(中略)

 さて、美味しいクリームの1つである「女性問題」というのは何かというと。
 エッセイストの雨宮まみさんという方が、ブログ「戦場のガールズライフ」の中の2013年の12月2日
「『かぐや姫の物語』の女の物語」という記事の中に書いています。
 雨宮まみさんは、女性問題などの記事に定評のあるエッセイストです。

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『かぐや姫の物語』を見た。強い衝撃を受けた。
昔話のあらすじそのままでありながら、昔話ではなかった。
これはあきらかに現代を生きる女の話だった。震えた。
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