>>835
 けれども、過去の世界は再現できても“未来の世界”はそうもいかなかったんですね。
 2002年に『マイノリティ・リポート』という、完全CGで未来社会を見せるという映画を作ったんですけども、大ハズレだったんですよ。
 まあ、2005年に作った『宇宙戦争』では、“現実の世界”の中に火星人の円盤兵器が来て、
それと戦うというのをやったら、これはまだヒットしたんですけど。

 ところが、その後の2008年に、『インディアナ・ジョーンズ』シリーズの新作として、
『クリスタル・スカルの王国』を作りました。これは、ダメ映画ですね。
 2011年には、『タンタンの冒険』で、初の3Dアニメを作ったんですけど、これもやっぱり大失敗。
 そして、つい2年前、というか1年ちょっと前。2016年には『ビッグ・フレンドリー・ジャイアント』という、
久しぶりのファンタジーモノをやったんですけど、これまた大外しなんですよ。

 スピルバーグって、「常に大ヒットしている監督」っていう印象があるんですけど、
作品数が多いから大ヒット作品もあるだけで、実は、かなりハズレも多い人なんですよね。
 そして、さっきも言ったように、「新しい表現をしないと自分は生き残れない」と思っているので、
『クリスタル・スカル』にしても、『タンタンの冒険』にしても『ビッグ・フレンドリー・ジャイアント』にしても、
すごく新しい試みをいっぱいやっているんですよ。
 だけど、全部、空振りだったんです。『インディアナ・ジョーンズ』は、4作目でもうダメだった。『タンタン』はシリーズ化できなかったんです。
・・・
 スティーブン・スピルバーグの代表作品を時系列順にまとめてみたんですけど。
(パネルを見せる)
 ちょっと細かい字がメチャクチャ多くなっちゃうんですけども。代表作というのが、まあ、これくらいあるんですよ。
 これを見るとわかる通り、ビジネスマンとしてのスピルバーグは、“シリーズ化出来るエンターテイメント作品”と
“評価を上げるための文芸社会路線”の2つを交互にやってる人なんですね。
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1971 『激突!』
1974 『続・激突! カージャック』
1975 『ジョーズ』
1977 『未知との遭遇』
1979 『1941』
1981 【『レイダース/失われたアーク《聖櫃》』】
1982 『E.T.』
1984 【『インディ・ジョーンズ/魔宮の伝説』】
1985 『世にも不思議なアメージング・ストーリー カラー・パープル』
1987 『太陽の帝国』
1989 【『インディ・ジョーンズ/最後の聖戦、オールウェイズ』】
1991 『フック』
1993 【『ジュラシック・パーク』】
『シンドラーのリスト』
1997 【『ロスト・ワールド/ジュラシック・パーク』】
『アミスタッド』
1998 『プライベート・ライアン』