岡田斗司夫プレミアムブロマガ
「ここがすごい!『エヴァ』『シン・ゴジラ』で見せた庵野演出の妙」
2018/4/25 7:00
http://ch.nic ovideo.jp/okadatoshio-archive/blomaga/ar1473639

【庵野秀明はレイアウト主導】

 庵野秀明というのは、絶対に、照明よりもカメラを大事にするんですね。
 もちろん、照明も大事なんですけど、それよりは自分のカメラ位置とか、
「この画角のレイアウトを!」というのを守らせることを大事にしているんですよ。

 この辺は、宮崎駿と高畑勲の違いにも繋がります。
 宮崎駿というのは、自分で絵が描けちゃう人だから、レイアウトも自分で描いちゃうわけですよ。
「こういう構図で」みたいなものを。
すると、自分で描けるもんだから、宮崎駿のレイアウトには必ず、矛盾というか誤魔化しが生まれるんですね。

 ある部分をわざと大きく描いたり、もしくは、パースを取る時の三点透視を誤魔化したりする。
もちろん、その分、魅力的な絵になるんですけども。

 それに対して、高畑勲は、そういうのを嫌って、すごい正確なパースというのを要求するんですね。
 なので、高畑勲のレイアウトというのは、もう本当に「ミリ単位でレンズの位置が決まっている」と言われています。

 「畳の上の高さ5ミリの位置にレンズがあるから、この位置で撮りなさい」というような指定が、
高畑勲のレイアウトにはある。

だけど、宮崎駿はそうではなく、自分で考えたレイアウトだから、
「こういうふうに作画してくれ」という指示になる。実写的というよりは、よりイラスト的なんですね。

 そういう意味で、僕が『シン・ゴジラ』を見ていた中で「ああ、これはレイアウト主導なんだな」
って思ったのが、このシーンなんですけども。

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