2018年03月26日12:00
「『ルパン三世 カリオストロの城』最後の解説(後編)」
2018年3月18日号ニコ生ゼミ テキスト全文公開

http://blog.livedoor.jp/okada_toshio/archives/51546169.html


【伯爵の目的その1「2つのカリオストロ家の統一」】

 まず「カリオストロ家の統一」ですね。
 実は、「クラリスを利用しようとする伯爵」という関係は、『カリオストロの城』に限った話ではなくて、
宮崎アニメの定番中の定番なんですよ。

 でも、よくよく考えてみると、クラリスは「なぜ彼女でなければいけないのか?」
という理由がすごく曖昧なんですよね。

 ハッキリ言えば、指輪だけあればいいと思うんですよ。おまけに、わざわざ両家を統一しなくても、
伯爵家はすでにゴート札で闇社会を支配しているわけです。

 そんな中、伯爵はこれ以上、何を望んでいたのか? なぜ伯爵家と大公家、光と闇を統一しなければならないのか?
 この理由が、僕らにはよくわからないわけですね。

 実は、この辺についての答えは、前回の放送でもお見せした初期の設定画の中に隠されていると僕は思っています。

 これが初期に設定されたカリオストロ城周辺のマップです。
 ここに「上カリオストロと下カリオストロ」と小さい字で書いてありますね。
つまり、カリオストロ家というのは、元々の設定では「大公家、伯爵家」ではなく「上と下」で分かれていたんです。

 ラピュタでいうと、「ラピュタ人の中でも神官クラスの人達は、神々の帰りを待っていた。
それに対して、下の方に住んでいる人達というのは、ラピュタによる地球の支配を狙っていた」みたいなものですね。

 宮崎さんは、こんなふうに「上層部と下層部では狙いが違う」みたいな、
社会構造の差というのを作品の中に盛り込むことが多いんです。

 伯爵は劇中でも「我が伯爵家は代々お前たち大公家の影として、謀略と暗殺を司り国を支えてきた」と言っています。
ここからもわかる通り、実は、伯爵家のもともとの仕事は偽札作りではないんですよ。