>>225
 どんなに純粋な志を持っている人でも、このサーキットをぐるぐる回ってキャリアを積みあげていくうちには、
悪い意味で「プロの政治家」になってしまう。米国の政治を根本から変えるような人は、なかなか生まれにくい構造になっているんですよ。

 共和党だろうが民主党だろうが、誰であろうと、大統領選に出るような人の主義主張に大した違いはありません。

 バラク・オバマが大統領候補になった時、「黒人の大統領が誕生すれば、いろんな物事が変わるはず!」とみんな期待しました。
でも、あれほど期待された彼ですら、大きな変化は起こせませんでした。

 どんなに優秀そうな人が大統領候補として出てきても、アメリカ人の多くは「でも、どうせプロの政治家でしょ?」と白けている。
だから、これまでの政治サーキットとは無関係なトランプを支持する人が多いというのはわかります。

 実を言うと、私にも同じような経験があります。1993年の衆議院議員総選挙では悩みに悩んだ末、
社会党に入れたんですが、その後、村山政権誕生につながって大後悔です。

ついでに言うと、1992年の参議院議員選挙ではUFO党に入れました。人生の中で考えに考えて投票した先が社会党、UFO党というのは......
「90年代、自分がやってはいけなかった」リストのトップです(笑)。


●「トランプはデタラメだけど、本音を言うだけマシ」の心理
 なぜ私がこの時、そんな判断をしたかと言えば、「既存政党の中からもう誰も選べない」と思ったから。
心の裏にはやはりプロの政治家に対する嫌悪感があるんでしょう。


 だから、アメリカ人が「トランプはデタラメだけど、本音を言うだけマシ」と考えるのも理解できる。
ヒスパニックや黒人、イスラム教徒に対する差別はひどいし、本当にダメな奴だと思うけど、欠陥商品だとはっきりわかる。
これに対して、ヒラリーのキャリアは非の打ち所がないし、法廷で争っても絶対に自分の欠陥は認めない。

 一見完璧だけどもしかしたら欠陥商品かもしれないヒラリー・クリントンより、
髪型も含めて欠陥丸出しのトランプの方が人間らしいと考えるのは、ある意味自然です。

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