>>199
 一番上に細長く「Little Nemo in Slumberland(夢の国のリトル・ニモ)」と書いてあります。これがタイトルです。
 どんな話かと言うと、毎回毎回、主人公のニモが不思議な夢を見るんです。

 例えば、これは「ベッドに脚が生えて、それがどんどん伸びて、外に出るんですけど止まらずに脚は高くなっていき、
 ついにはビルを乗り越えて、長くなりすぎた脚がこんがらがっちゃって、最後はベッドから落ちて目が覚める」というお話。
 こんな単純な漫画なんですけども、メッチャクチャ人気があったんですね。

 実は、「アメリカの漫画の歴史上、最も人気があった作品」と言われています。
 一話完結で、毎回毎回ラストシーンはニモがベッドから落ちて目覚めて「この不思議な世界はニモが見ていた夢なんです」
 っていうオチになるんですけども。まあ、とにかく、あらゆるバリエーションの話があって、
 「これがアニメ化されたら、ミッキーマウスよりもよっぽどヒットするだろう」と言われてたんですね。

 この時の藤岡豊さんの活躍は、本当に神がかっていたんです。
 何がすごいかって、この原作を取ってきただけではなく、技術スタッフとしてディズニーの『ファンタジア』とか
 『白雪姫』の時代のアニメーションを作った「ナイン・オールドメン(9人の老人)」と言われる名アニメーターの中から
 フランク・トーマスと、オリー・ジョンストンという2人を連れてきたんです。
 「9人の老人」とか聞くと「白雪姫か!」って思うんですけど(笑)。

 次に、プロデューサーにジョージ・ルーカスを呼んできて、脚本をレイ・ブラッドベリに書かせて、
 おまけに日本側のスポンサーとして、サラ金のアコムを連れてきたんですね。このアコムが、
 事実上「金の蛇口」と化して、ナンボでも予算を出してくれたんです。