>>829
 それを聞いたホーマーは、なぜだかもう、ムカムカしてきて「失敗すればいいのに!」って願ってしまうんですね。

 アメリカには“チキン占い”というのがあるんです。
「バーベキューの時に鶏とか七面鳥を丸々焼いた時に残った骨の両側を、2人が片方ずつ持って引っ張りあって、
骨が割れた時に多く残った方の願いが叶う」みたいなものなんですけど。

 これをネッドとホーマーの2人でやることになった時、
もちろんフランダースの方は「自分の店が成功しますように」って願うんですけど、
ホーマーの方は、ついつい心の中で「誰も客が入らずに閉店してしまうフランダースの馬鹿げた左利き専門店」
という情景を思い浮かべて、これを願ってしまうんですね。

 さて、ネッドの店が開店したわけなんですが、ホーマーが店を見に行ったら全くお客さんが入っていなかったんですね。
それを見たホーマーは、なんだか楽しくなって、ニヤニヤしながら「ネッドの店はガラガラだったぞ!」と家族に話します。

 すると、ホーマーの娘である天才児のリサ・シンプソンが「パパはシャーデンフロイデよ」というふうに言ってくれます。
「シャーデンフロイデってなんだよ?」とホーマーが聞くと、「ドイツ語で“他人の不幸を喜ぶ恥知らず”っていう意味よ」とリサは続けるんですね。

リサ「恥知らす?」 http://livedoor.blogimg.jp/okada_toshio/imgs/d/0/d072335a.png

 それを聞いたホーマーは、「自分にそんな卑しい感情があるとは思ってもみなかった!」って、すごくビックリするんです。
まあ、アニメを見てる人間は、みんなわかってたことなんですけどね(笑)。

 ホーマー・シンプソンというのは、実はかなり単純な性格で、自分が他人の不幸を喜んでいるだなんて思ってなかったんです。
なので、「いつもチヤホヤされて幸せそうだから、パパもつい……」って、一生懸命リサに言い訳をします。
「まあ、俺一人がそんな悪い想像をしても別にかまわないだろ」っていう、僕らもよくする言い訳みたいなものですね。
 だけど、娘のリサは、そんな父親のことを、なんかすごく嫌な目で見るんですね。

 この、「ネッドの店はガラガラだったぞ!」と言って喜ぶ感情がシャーデンフロイデです。
 このエピソードのオンエアは、なんと今から27年前の1991年。『シンプソンズ』、メチャクチャ早いですね。
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