>>977
 そして、それと同時に、主人公のナツキ・スバルっていう男の子が、
とにかくなんとかみんなを上手く動かして、助けてあげようとする。
 もちろん、上手くいくはずもなく……第1話目から2回くらい殺されるんだったかな?
「殺されてゼロに戻る」を繰り返すことになる。

「屋敷に侵入者が現れて死んじゃった」
→「死んで戻って、屋敷の侵入者を止めたと思ったら、その後、魔法使いみたいなヤツが狂って殺された」
→「また戻って、それを止めたと思ったら、かわい子ちゃんメイドにいきなり追いかけられて殺された」
 みたいに、死んで戻ってを繰り返しながら何重にも存在する危機を回避していく話なんだ。
・・・
 俺が上手いと思ったのは、なんの能力もないヤツをヒーローとして描く上で、
こういう「一通り全部失敗したから大丈夫!」っていう方法を取ったところ。
 こういうのは今まで見たことがなかったので、俺はそこを評価してるんだよね。
つまり、ストーリーラインとして画期的なんだ。

 いわゆる、“アドベンチャーゲーム的”というか、「何の取り柄もない少年が、
延々とダメな選択肢を全て潰して行った先で王道を見つける」っていう方法。
これは、こういうヒーローの描き方もあるんだなって思ったんだけど。

 ところが、物語の後半、最終話に向かって加速していく辺り、具体的に言えば
“白鯨”という空中を飛んでいるクジラみたいなヤツを退治する辺りから、
このヘタレな主人公が段々と立派なヤツになってきて、
 そこら辺で“燃える展開”というヤツになるんだよね。
 そういうのが好きな人は、その燃える展開に、ものすごく乗れるわけなんだけど。

「オール・ユー・ニード・イズ・キルやん」(コメント)
 ああ、『All You Need Is Kill』か。確かにそうだよな。

 でも、俺、こんなに細かく殺される話っていうのはあんまり見たことがなくって。
 もともと、アメリカに『リプレイ』っていうSF作品があるんだよ。
“死に戻り系”の作品の元祖みたいな作品だと思うんだけど。
それでも、やっぱり、少なくとも数年間は生きた後で戻るんだ。
 なので、これはちょっと珍しかったんだよな。
・・・
 「この作品が非常に人気があることに驚いている。どう楽しめばいいのか?」か。うーん、難しいね。
 乗れないという気持ちもわかるんだよ。確かに、ウザいはウザいし、
上手く行かずに死ぬ展開を何度か繰り返した後は、
 もう、周りの人間がどんどんイヤなヤツに見えてきたりするし、
主人公のスバルも、周りの人間に対して「俺の言う通りにすればいいんだッ!」
って言い続けるような感じになるので、どこを好きになればいいのか難しいんだよね。