ある朝目覚めると、薄暗い細い路地に倒れていまました。
体に違和感を感じつつも起き上がり明るい方に歩いていくと
目の前に水路がありました、淀んで流れの遅い水面に映る姿は
とてもとても美しい幼女の姿、服も可愛らしいワンピース
でも顔や手足は薄汚れ、ワンピースもボロボロで裸足でした。
そして喉にはザックリと斬られたような古い傷痕のようなもの。

周囲を見回すとそこは中世ヨーロッパのような街並。
通りがかった人に話しかけようとして声が出せない体だと気付きます。
どんなに声を張り上げても空気の抜けるような音しか出ません。
そして相手の話している言葉もさっぱり理解できませんでした。
会う人は皆忙しそうにしており見知らぬ幼女に構っている余裕など
無いかのように素っ気なくあしらいます。

やがて日が暮れて寒くなってきました、空腹感が襲って来ても
食べ物にはありつけませんでした、行く当てもなく最初の路地に戻り
寒さに凍え暗闇の恐怖に怯えながら踞るように眠りに落ちてゆきました。