過去には日本は人口当たり医師数では少ない国のほうに所属していたのですが、
マスコミの過剰報道や、政治家の人気取りにより、
やたらと医師数を増やさなければならないという現実を無視した感情的な世論圧力が高まり、
結果的にここ20年間で、
世界の中では異常とも言える割合の医師数を養成するようになっています。

18歳人口の約1%もの多数を医学部に入学させている国家は日本くらいなものです。
将来を考えれば、正気の沙汰ではありません。

そのため、今すぐにでも大規模な医学部定員減数を行わなければ、
今後10年以内にOECDの人口当たり医師数の加重平均値を抜き去り、
更に加速度的に医師過剰国家に躍り上がるのはほとんど確実です。

きちんとした統計を知っている役人はそのことを十分わかっているので、医学部の減員を主張していたのですが、
残念ながら安易な報道のマスコミに踊らされる愚民は現状を理解していませんから、
医者が足りない、安く働く医者を寄こせという主張を続けるでしょう。
それ故、極端に増加させている医師養成数は、簡単には減らせないことが予想されます。
これは歯科医の職業崩壊と全く同様の構図を追従しています。

人口が減少し医療需要は激減することは確実なんですが、
国際的な比較として異常なレベルでの医者養成を行い減らさないんですから、
医者が余るのは確実です。
しかも人口減少社会で社会保障費が削られるんですから、医者1人1人の待遇は極端に暴落します。

命を背負う責任や、寝ないで働く過重労働を押し付けられているのに、
サラリーマン並みの待遇しか得られないのなら、優秀な人間は医者になるはずがありません。
そのため医者人気は暴落します。
バカしか医者にならない時代がやってくるのです(これも歯科医の歴史同様です)
日本の医療は確実に崩壊します。

残念ながら結論は変えられません。
後はどれくらいの期間「医者の価値がまだ持つのか」という点にだけでしょう。