学校再開後も「授業に制約」7割超 公立高

緊急事態宣言解除で学校が再開しても、当面は「授業に制約が残る」とみている都道府県教育委
員会が7割超に上ることが、日本経済新聞の調査で分かった。夏休み短縮や行事削減で授業不足
の穴埋めを図るものの、年間の学習課程を終えられないケースが相次ぐ可能性がある。大学受験
や就職への影響にも懸念が高まっており、国や自治体にとって教育現場の支援は大きな課題だ。

これまでの休校期間は感染者ゼロの岩手で約1カ月、緊急事態が最後まで続いた東京が約3カ月
など地域で差はあるが、多いところでは約200時間分もの授業が消失し遅れは深刻だ。再開後の
授業の進め方について、首都圏など8都県が「多くの制約が残る」、28道府県が「一部制約が残る」
と答え、計7割超が制約があるとみている。

通常ペースで授業ができないのは、感染防止で分散登校などを実施するためだ。東京都は6月1日
から都立高を段階的に再開する。ある学校では1週目は登校日を2〜3日に絞った上、1クラスを2つ
に分けて午前と午後に分散登校させる。登校しない日や時間帯はオンラインなどを活用した家庭学習を課す。

年間の学習課程は、36道府県が「予定通り終えられる」としている。ただ授業に制約が残り、感染
の「第2波」の可能性もある中で、実際に終えられるかは不透明だ。大阪や埼玉など7府県は「見
通せない」、東京は「現時点では分からない」という。各地で学習課程を消化しきれないケースが相
次ぐ可能性がある。