私は、昔からよく怪我をする。
今でも信じられないような怪我の仕方をしたりするのだが、これは私の中にいる何かが怪我をさせるように仕向けているのだと思っている。

あいつは何度か私に話しかけてきている。
初めてあいつを見たのは小学生の頃だった。

ジャングルジムの1番上から落下した時、痛みで泣き叫ぶ私の膝から、あいつは現れて、「まだ死なない」とだけ言った。
真っ赤なヌルヌルの風船に、凹凸のあるリアルで無表情な顔が張り付いてた。
その一言を言うと私の膝へ帰っていった。

それから大きな怪我をした時、不定期にあいつは現れる。
そのたびに「まだ死なない」と言うのだが、少しずつ表情が変化している。

きっと最後はあいつに「もう死ぬ」と言われて私は死ぬのだろう。
その時きっとあいつは笑顔で私を見ている。