その日の夢は、最悪な始まりだった。だって、曲がった先が行き止まりだったんだから……やばい。そう思って引き返そうとしたけど、時すでに遅しだった。何かが、僕の後を追って角の向こうからこっちに曲がってきたんだ。パッと見は、ゲゲゲの〇太郎に昔出てた【ベアード】って西洋妖怪のボスに似てた。黒くて丸い球体の中心にでかい目玉が1つ…………でも、よく見るとその球体は人の塊だった。顔はなかったけど、体のパーツだけがいくつも絡みあってくっつきあってるそんな見た目だったよ。そいつは、僕の腕を掴むと引き寄せながら

ベアード(仮)「ほしい……ほしい…、……ほしぃ」

そう繰り返しながら、僕の体を自分の中に取り込もうとしていた。金縛りにあったように身体はピクリとも動かないし、声も出せなかった。

僕「……<あ、僕……ここで死ぬんだ>」

一瞬、本気で死を覚悟した。そしたら、次の瞬間。誰かに後ろから思い切り引っ張られて、気が付いたら僕は床に尻もちついて座っていた。目の前には、ベアード(仮)と僕の間に立つ着物姿男性の背中があった。見た瞬間、思い出した。八幡様の神社で出会った人だった。

謎の男性「去れ。二度と、私の前にその醜い姿を見せるな」

男性がそう口にした瞬間、ベアード(仮)が断末魔の叫びを上げた。それも、1人の声じゃない大勢の人の声がいくつも重なったような不気味な断末魔だった。そして、ベアード(仮)が消えると男性が僕の方へとやって来て頭を撫でられた。

謎の男性「だから、捕まるなって行ったろ?……ようやく見付けたのにまた、居なくならないでくれよ。
また探すのは、面倒臭いからな…………その代わりこれからも側に居るなら、守ってやる」
僕「…………うん」

目が覚めてすぐ祝詞の人に電話した。

僕「なんで、言ってくれなかったの?」
祝詞の人「気づくのを待ってた。……信じたかったんだよ」
僕「……ありがとう」
祝詞の人「別に。……俺が守りたかっただけだから、礼とかいらねぇし」

と、ここまでが祝詞の人との出会いの話。嘘みたいな話だし、僕も友人からこんな話聞かされたらすぐには信じないと思う。だから、信じるかどうかは話を読んでくれてる君たちに託すよ。

次からの話は、祝詞の人に会って霊感が前より強くなってから体験した話を書くね。