豊田有恒「退魔戦記」
鎌倉時代の先祖が書いたものが近くの寺にあるという連絡がきたので
主人公がそこの寺の娘とともに解読をすることに。
その書は字体こそは当時のものであるものの、紙の材質は未知のポリマーでできているという謎のものだった。
書の表紙には「退魔戦記」と書かれており、古文書などに異様に詳しい寺の娘によれば
「魔を退かせる、という言葉は普通使わないし、戦記という言葉も新しい言葉だからちぐはぐな感じがする」
ということだった。
それはともかくとして解読をしてみると、

著者は鎌倉時代、伊予の河野氏に使える脇田次郎清高という人物で、主君の河野通有と浜辺を巡視していたところ空を飛ぶ謎の船に遭遇。
着陸した船から数名の男女が降りてきたため話を聞くと、その船は退魔船という時間を移動する船であり、
その乗組員たちは蒙古による日本征服を阻止するために来たという。
かれらの未来では蒙古が南北アメリカ大陸も含め、世界を征服しているが、黄色人種のみが偉いとされほかの民族は奴隷扱い。
黄色人種であるはずの日本人については、蒙古にたびたび反乱を起こしたためにほかの人種同様に劣等民族扱いされているらしい。
もし日本が蒙古を撃退したならば、元の君主であるフビライ・ハンに対して現在従兄弟のハイドゥがしかけている反乱が長期となりフビライの威信は衰え、
モンゴルによる世界統一が頓挫するのだとか。