エレベーターは密室だから怖い。
俺は、使うのがすごく怖い。ボタンを押す手が震える。
その原因となった出来事が2つある。
まず1つめ
冬、夜中に自分のマンションに帰って来てエレベーターを待っていた。
エレベーターは上から降りてくる。
ドアが開くと、女性が立っていた。
バスガイドの制服を着て、行き階ボタンパネルの所に横の壁を向いて立っている。
顔はよく見えないが、美人で若い。米倉涼子似。
「何階をご利用ですか?」ときれいな声でたずねてきた。
「あっ、7階をお願いします。」
彼女は7階ボタンを押してくれた。
ああ、彼女、今仕事から帰りか。バスガイドも大変だな、と思った。
彼女は、話しかけてきた。
「本日は、XXデパートをご利用いただきありがとうございます、ただ今、8階催事場では、お中元予約受付会を開催中です。屋上広場では、仮面ライダーストロンガーショーを絶賛開催中です・・・」
しまった!彼女はエレベーターガールだ!最近デパートにはいなくなったので忘れていた!
俺は、彼女を刺激しないように、ひたすら7階へ到着するのを待った。
彼女との時間を、ものすごく長く感じた。
7階に着いた!
「7階子供服売り場です。ご利用ありがとうございます。ゆっくりお買い物をおたのしみください。」
「お、お疲れ様です。」
俺は、走り出したい気持ちをおさえて、ゆっくりと廊下に出た。
エレベーターは、そのまま閉まり、彼女は8階催事場に昇っていった。