▼スペースランドからの来訪者-33
▼▼球がスペースランドのほかの神秘を明かしてくれたが、わたしがそれ以上を望んだこと、その顛末
わたし(正方形): 人々はそう言っているのですか? ああ、お信じにならないでください。
実際に、この別の空間は本物のソートランド(思考の国)だとしても、その神聖な場所に連れて行ってください。
思考の中で、あらゆる立体物の内側が見えるでしょう。
わたしの恍惚とした目の前で、立方体がみんな、どこか新しい方向へ、厳密なアナロジーに従って動いて行き、その内部のあらゆるものが、
軌跡を残しながら新しい種類の空間を通過し、一六の超立体角と、外周に八つの立方体を持つ、自身よりさらに完全な究極の存在を作り出すでしょう。
そこへたどり着いたら、さらに上昇を続けませんか?
四次元の神聖な領域で、五次元への入り口を前に、そこへ入るのをためらうのですか? ダメです! 肉体が次元を上昇するにつれ、志も高めましょう。
そうすれば、わたしたちの知力による攻撃に屈して六次元の扉が開き、その次は七次元、さらに八次元の扉だって……
どれだけ話し続けたか、自分でもわからない。球は声を轟かせ、繰り返し黙るように命じ、それでも続けるなら、もっとも恐るべき罰を与えると脅したが無駄だった。
あふれ出てくる恍惚とした憧れを止められるものはなかった。わたしが悪かったんだろう。わたしは球に飲まされた真実に、すっかり酔ってしまっていたのだ。
だが、終わりはすぐにやって来た。
わたしの言葉は、外部と内部で同時に生じた衝撃によってさえぎられ、わたしは口もきけないほどの速さで空間に押しやられていった。下へ! 下へ! 下へ!
急降下していった。フラットランドへ戻ったらおしまいだとわかっていた。一目だけ、最後に一目だけ、忘れることのできない光景を見た。
眼前に広がる単調で平坦な荒野。再びわたしの世界となる場所。それから真っ暗闇が来た。最後に、すべてに終わりを告げる雷鳴が轟いた。
気づくと、わたしは地を這うただの正方形で、近づいてくる妻の平和の叫びを書斎で聞いていた。