ある日、奥さんからクマのぬいぐるみをもらった子供がいました。
近所の人も、まあクマのぬいぐるみならいいかなと思ったみたいです。
ゲームセンターであるような、普通のぬいぐるみだったそうです。

しかし、そこからその家に怪異が始まりました。
家の中でバタバタと走り回る音が聞こえてくるのです。
そして、子供が「ちーくん」と遊び始めました。
流石に怖くなったので、それを周囲に話すと、回り回ってその旦那さんの耳にも入りました。
旦那さんは家まで伺い、ぬいぐるみを引き取りに行きました。

その日は子供は大泣きし、何とか説得して引き取ることができました。旦那さんはどうしてもぬいぐるみを引き取りたかったみたいでした。
後から聞いた話では、「ちーくん」は、子供が自分の事を呼ぶ時に言っていたようです。舌足らずで、自分の名前をはっきり話せなかったようで、その夫婦はそんな呼び方をしていなかったので
どうやって接点のなかった近所の子供が知ることができたのかと、旦那さんはゾッとしたみたいです。

そして、ぬいぐるみに違和感を覚え、中の綿を取り出すと
奥さんが作った人形が入れられていたみたいでした。
その人形、亡くなった子供の髪の毛と遺灰が混ぜられて作られていたようで
遺骨の中身はほぼ空っぽになっていたとか
祖父はその人形を20万ぐらいで買い取ったようでした。
なぜ、そこまでそんな金額を出したのか聞くと
「ああいう人の念が詰まったものは、不思議な魅力がある。
道具と一緒で、奇妙な愛着が生まれる。」
とのことでした。
祖母は始めはいいじゃないのと言っていたなのですが、祖父から話を聞いて捨てるように釘を刺されたみたいです。