その旦那さんは見える意外にも、俺から見ても本当に聖人のような人だった。
それもあると思うが、旦那さんには妖怪は反応しないみたいで、奥さんもこの人だけは本当に特別だと言っている。
男性の下心ですら、憑いてるものが攻撃と見なす。
更に親の躾ですらその対象に入るらしく、憑いているものが奥さんの周囲を無茶苦茶にしたらしい。

奥さんは箱の何かにワザと攻撃され、憑いてるものに攻撃させた。
駄目だと悟ったのは、奥さんが元気になったからだと言っていた。いつも倦怠感と奇妙な感覚があるが、強いいわく付きに合うと、身体が楽になるとの事だった。
恐らく、憑いているものが一時的に消耗し、奧さんから離れるせいではないかとの事だった。
今回は半年ほど元気さを保つことができたらしく、大層喜んでいた。
今は子供もできて、何とか幸せに過ごしているみたいだった。

その後、箱の現象も一時的になくなった。祖父はその間に必死に知人を当たり、そういういわく付きの物をコレクションしてる富裕層の中国人に倍以上の値段で売り渡したと言っていた。
ただ、悪用されないか心配していた。

実は、俺はそのコンテナでその箱を開けた事がある。
中には、干からびたか細い赤子の手のような物がギッシリと入っていた。
あの時、触っていたらどうなったんだろうか