こどものころの話

私の校区では不審者がたびたび目撃されていた
そのこともあってか学校では当時珍しかった防犯ブザーが配布されたり、低学年児童は集団登校させたりと防犯につとめていた
ニュースでも、日本各地で児童を狙った犯罪が連日報道されており、子供心に夕方以降外を出歩くのはすごく怖いと思っていた
私は走るのが遅いほうで、変質者に追いかけられたとしたら逃げ切れる自信がなかった
また、田舎だったので家の周辺は田んぼや畑ばかり
叫んで助けを呼ぼうにもおそらく誰も駆けつけてくれないような環境だった

そんなある日、仲良くしていた同級生が下校時に眼鏡をかけた中年のおじさんに追いかけられるという事件が起きた
そのおじさんは物陰に隠れていて、子供が通るのを待ち構えていたという
同級生は無事だったとのことだが、それを聞いて、身近に不審者がいるということをリアルに感じられ夕方外を出歩くのが怖かった
学校の先生方が通学路で見回りしているのが何よりも頼もしかった

当時私はそろばん教室に通っていた
ある日、そろばん教室が終わり家に向かって歩いていた
時刻は5時半を過ぎたころだった
季節は秋の終わりごろで、日も落ち周囲は暗くなりかけていた
そのとき、前方に人がこちらに向かって歩いてくるのが見えた
よく見ると、上半身裸の男だった
不審者だと思い、体がすくんで身動きが取れなくなった
男はこちらに近づいてくる
そのとき私はその男についてあることに気が付き、驚愕した

ベージュ色の服を着てるだけだった