藤子・F・不二雄「ある日…」

8ミリビデオ同好会、第一回目の上映会。
くじで順番を決め、トリは世を拗ねた風情の、一番若い男。
批評精神がどうのと口うるさい青年の作品タイトルは
【ある日…】
平凡な日常生活が数分流れ、いきなり画面が白く輝き、あとはずっと白い画面と無音。というもの。
褒めどころに困るメンバーに、男は怒り狂う。

「わからんのですか、これは警鐘なんですよ!平和な生活がいつなんどき、核戦争で断ち切られるかという…はかない平和の…」
「唐突すぎる?伏線もない?甘いな、現実に伏線がありますか!」
「世界中に核兵器が…今この瞬間にも…ある日突然…唐突に…納得できる伏」
男の演説はここで途切れ、最後の大ゴマには何も描かれておらず、隅に小さく「プツン…」の文字。