植民地主義は未清算 琉球民族遺骨返還研究会 松島泰勝代表に聞く

 京都地裁に4日、提起される琉球人遺骨返還訴訟について、原告となる松島泰勝琉球民族遺骨返還研究会代表に聞いた。

 ―なぜ提訴するのか。

 「京都大学に遺骨返還を求めたが拒絶された。琉球人として自己決定権を行使するために提訴する。訴訟の先行例に、遺骨の返還に至ったアイヌ民族の訴訟がある。
ただアイヌ民族は政府により先住民族と認められ、アイヌ文化振興法もある。違いは踏まえつつ参考にして取り組んでいる」

 ―遺骨は身元が不明だ。

 「アイヌ民族は遺骨をコタン(集落)に返すよう求め、返還させた。琉球の場合も遺骨や亡くなった人に対する信仰がある。清明祭や十六日祭など、亡くなった後も親族との交流が続く。
それを妨げている京都大学は国内法にも国際法にも違反している。返還、再風葬を求めていく」

 ―組織体制は。

 「確かな家譜を持った第一尚氏の子孫2人に加わってもらった。私や照屋寛徳衆院議員、彫刻家の金城実さんは琉球民族という立場で原告になる。
自己決定権を求めた動きに賛同し、支援する人が増えている。関西、関東、沖縄の3地域を拠点に全国連絡会を作り、原告団・弁護団と連携して訴訟を社会変革運動につなげたい。
在日コリアンや被差別部落出身者ら、国内少数者の連携も鍵になる」

 「遺骨の盗掘は琉球併合(「琉球処分」)から連続した問題だ。大学(旧帝国大学)による国家犯罪だ。日本の植民地主義は未清算で現在も続いている。
訴訟は琉球人のアイデンティティーに関する議論が活発化する契機にもなるはずだ」 (聞き手・宮城髏q)

琉球新報社

ソース元
https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20181202-00000021-ryu-oki