行きで通りかかった時から40分は経過している、流石に驚き足を止めてそのサラリーマンを見てしまった。
男は行きの時と同じように斜め後ろを向いて立っており、身じろぎ一つしなかった。

背中に冷たい物がじわりと流れ出した、早く家に帰ろう、と思い立ち、公園の脇を通り過ぎた辺りまで歩いた時、ある事に気が付いた。

俺は行きの時とは反対の道路から歩いて来た、それなのに何故男が行きと同じように斜め後ろを向いて立っているんだ?

全身の毛穴が開いていくのを感じた、もうここから走って去った方がいい、そう思っているのに俺は公園の方を振り向いてしまった。

男は滑り台の上で斜め後ろを向いて立っていた、先程と、同じように。

俺はたまらず走ってその場から逃げた、また振り向く勇気は俺にはなかった、振り向いてもし男がこちらを見ていたら、
その時はその状況は絶対に考えたくなかった。

もしかしたら幽霊の類ではなかったのかもしれない、酔っ払いの悪ふざけか何かだったのかもしれない、
ただ俺は夜中の散歩でそれ以降、その公園の近くを通ることは二度となかった。