石じじいの話です。

石さがしの旅で出会った人から聞いた話だそうです。
ある農家の男性の家に泊めてもらったとき、そこの主人はこんな話をしてくれました。
あるところに、目の見えない少年がいました。
笛がとても上手で、いろいろな曲が吹け、また即興もこなしたそうです。
彼には姉がいました。彼女は、とても美人ですぐれた歌い手でした。
その姉弟には親が無く、門付けをして流浪していました。
また、縫い針を仕入れて、それを訪問販売して糊口をしのいでいました。
歌舞音曲の好きな両親だったので、姉には歌や三味線を、弟には笛を習わせたのだそうです。
両親が流行病で死んだ後、借金のかたで家と三味線を取り上げられてしま、故郷を離れてこじき(ママ)となりました。
美人の姉には、養女にしたいという申し出も多くありましたが、彼女は弟と一緒でなければいやだといい、そのような場合には必ず断られたのです。
ある村の祭りで、すこしお金を稼いだ日の午後、姉は土地の金持ちの家に呼ばれていきました。
そのようなことはしばしばあったのです。
その男の子は、村はずれの神社で待つことになりました。
(つづく)