我々の仲間のひとりに刑事さんがいる。
「通報したほうがいいでしょうね?」と尋ねると、彼は「確認してからでいいでしょう」と言い、スマホのライトを点けて躊躇なく車へ近づいていった。
一通り検分し、どこかへ電話を掛けて戻ってくると「緊急ではないので大丈夫です。朝になったら来てもらうよう連絡しておきました」

我々は安心し、何より闇のなかを普通にあの車に近付いて、中を覗きこめる度胸に感心した。
そして観測を楽しんで下山したのだが、何ヵ月も経ってから、例の山頂の駐車場で車中で練炭を焚いて自殺した人の話を聞いた。
流星群を見に来た人が通報してきたそうだ。

あの車の中にいたんだ。