石じじいの話です。

呪いの面は、よく聞く怖い話です。
人の形を真似たものは、人間の情念が宿りやすいのかもしれません。
じじいもそのような面をいくつか見たことがあるそうです。
見ると不幸になる、という仮面がありました。
じじいも不幸覚悟で所有者に見せてもらったそうですが、それは白い面で、目2つだけがある子供の顔くらいの大きさでした。
卵型の面にやや歪んだ楕円形の穴がぽっかりと2つあいて並んでいる。
その左右の眼窩(?)の間は広かったそうです。
面の中央部がほんの少し盛り上がっていて、それが鼻のように見えないこともない。
他には口も眉もありませんでした。
全体的に気持ちの悪いものでしたが、じじいはそれを見たときに「これは、ほんとうにお面やろうか?なんかちがうもんやないか?」とも思ったそうです。
売るにしても値がつかないし、もしかしたら価値のあるものなのかもしれない、ということで、所有者はそれを箱に入れてお札で封印して押入れに保管していました。
そうしておくと、別に害を及ぼすものではなかったようです。
ある日、その家の子供たちが、縁側で遊んでいました。
母親がおやつのお菓子を持って子供たちのところに行ったとき、彼女は絶叫しました。
子供たちが、その仮面を取り出して遊んでいたからです。
動顚した母親は、持ってきたお菓子とお茶をのせたお盆を取り落としましたが、子供たちから面を奪い取り、それを持って父親の元に走りました。
父親は、その様子を見て、母親の話を聞いて、大慌てに慌てました。
二人は、そのお面を見て黙り込んでいました。
母親は、「ぐっ!」と言って口を押さえました。
父親も、「うぐぐっ!」と
(つづく)