怖い話って言っていいか微妙なところだけど、俺の実体験を語る。
なんていうか、俺には一時期魂が緩い時期があったんだ。
きっかけは、多分引越しかな。引っ越してから1週間か、一ヶ月か、まあそこら辺の間くらい。数年前のことだからそこら辺曖昧。
とにかく引っ越してからそんなたってない頃に、幽体離脱みたいだことが起きたんだ。
なんでそんなぼかした言い方をしてるかというと、俺そのときずっと目をつぶってたのね。怖くって。
で、なんで目を瞑ってるくせに幽体離脱をしたのかわかるかっていうと、体がフワって、浮いた感覚がしたの。重力を感じない感覚みたいな、上に上にあがっていくみたいな。背中の布団の感覚も、その時なかったかな。
これはやばいって思って、戻れ戻れって念じてたら、すっと浮かんでいる感覚がなくなった。目を開いたら、いつもの部屋だった。
これで終わりならよくある幽体離脱の体験談だけど、続きがある。
こっから、今度は金縛りになることが多くなった。
金縛りになるとさ、なんていうかパニクるじゃん? とにかく起きなくちゃいけない、みたいな風に焦るのよ。
で、焦ってなんとか無理やり起き上がろうとすると、また幽体離脱みたいなのが起きるわけ。
しかも今度は中途半端に、上半身だけ。
やっぱり目を瞑っているから本当に抜けているのかはわからないけど、寝転がってる感覚はあるのに起き上がってる感覚があるっていうの? 矛盾してるようだけど、そんな辺な感じになってたんだよ。
しばらくしたら金縛りも無くなって、幽体離脱みたいなのも起きなくなった。
ただ、この体験一つ気になってることがあるんだ。
最初以外のやつで幽体離脱すると、なぜか顔が引きつってたんだよ。
引きつって、まるで無理やり笑ってるみたいな、そんな風に口が釣り上がってた。
楽しいわけでもないし、何かに無理やり顔を歪まされてるわけでもないけど、なんであんな笑った顔みたいに引きつってたのか、今思い返してもなんだか気持ちが悪い。